あの日もアサガオが咲いていた。




あれから幾つもの季節を重ね、迎えた三度目の夏。

あの時のメンバーは陽太を残してもう誰一人この学校にはいない。


陽太は決めていた。

絶対にもう一度あのステージに上がると。

再びワンステの舞台に立つと。


それには今年が最適の年だった。


あの時と同じ、新しい三年を迎えるスタートラインであるこの年が。


そのために陽太は自ら名乗り出た。

校長に直接志願書を出したのだ。

それも、四月から諦めることなく数回に渡って何度も。


そんな生徒は全校生徒を集めても陽太以外にはいないだろう。

勿論過去に前例もない。


ワンステは生徒たちにとって憧れではあったが、そこに自ら上がることを望む生徒は少ないのだ。


人は遊戯への傍観を楽しむ生き物である。




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