あの日もアサガオが咲いていた。
凄いステージだったと、そう一言で表すにはあまりに魅力的すぎたそれ。
陽太にとってそれはとてつもなく衝撃的な映像だった。
息のあった歌と揃ったダンス。
決して潰されない個性。
その一瞬にかけるひたむきな姿。
そしてそれらに煽られるかのように盛り上がる会場。
内にも外にも、あちらこちらから笑顔が溢れていて。
そして何より、そこに描かれる"絆"の姿に幼い陽太は憧れた。
それは目には見えないもの。
しかし、確かにそこに存在していた。
だから中学への進学の際、どうしてもこの学校に行きたいと両親に頼み込んだのだ。
それは六人兄弟の長男である陽太の数少ない我儘だった。
もしかしたら、初めてのことだったかもしれない。