あの日もアサガオが咲いていた。
どうしてか今年は大丈夫だと、そんな確信に近い予感を感じているのだ。
きっと今年は、何かが変わる。
「よーちゃんがそう言うなら大丈夫だよ、絶対」
柚子もまた絶対に上手くいくと疑うことなく信じていた。
彼女は知っている。三年前の夏の出来事を。
あの日、陽太がどれほど悔しい思いをしたのかを。
笑顔の裏で流した一筋の涙を、柚子は知っていた。
陽太は知らないかもしれないけれど。
その涙を見て、柚子は陽太に恋をしたのだ。
そして今度は本当の笑顔でステージに立つ陽太を見たいと心から願っている。
必ず見れると信じている。
「サンキュ」
俺、頑張るから。
陽太はそう言っていつもよりも綺麗に、真っ直ぐに笑った。