そばに居てくれますか?
「確かにいい所もあったけどCMとしては全くダメよね。そもそも、私達CMの仕事はね。目の前に居ない人の声をしっかり受け止め伝える事のはず。」

「それは、わかってますし。ちゃんとわたしだってやってます!」

「そう!それでちゃんとやってるの?そう言えるの?そう言うなら明日から来なくていいです。」
「えっ??ひどいじゃないですか!」

「ひどい?!ひどいのは貴女のその仕事に対する気持ちの方です。自分の事しか考えられない自分勝手な人にはこの仕事は務まりません!貴女のためにも今の内に言ってるんです。どうしますか?」
「どうするって?!」

「続けるのも辞めるのも貴女次第ですよ。」

「でも、今。辞めろって言ったじゃないですか?」
「それだから駄目なのよ。人に言われて動くようじゃ駄目。自分がしっかり仕事をしてるなら、人に何を言われても。そんなに直ぐに諦められないはずよ?!」
黙って泣き出す娘。でも、泣く事で同情を引こうとしてるのはスタジオに居る人の誰の目にも映っていたのだ。

「いつまで、そうしてるの?」

「私、私!すごく頑張ってます。だから・・。」
< 13 / 30 >

この作品をシェア

pagetop