コンクリート・ハウス
「ケッ」


辿り着いた外通路のベンチに腰を下ろして、煙草に火をつけた。


ここは商業施設の2階と2階を繋ぐ外通路で、営業時間はもとより時間外では滅多に人が通る事は無かった。


1人になりたい時はここに限る。


「…やっぱ3mgは軽いな。」


今朝手に入れたまっさらなの煙草。フィルターを千切って吸う。


とびきり濃いのが肺に流れ込む。気分が少し落ち着いてきた。


俺は別に拗ねてた訳じゃない。


足下に転がる空き缶を思い切り蹴飛ばした。


あちこちにぶつかりながら、音を立てて遠くまで転がった。その音に驚いた鳩が、少しだけ居場所を変えた。

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