コンクリート・ハウス
図書館の開館時間を過ぎても、今日は行かなかった。とても誰かと話たりする気分ではなかったからだ。


昨日、図書館から失敬してきた推理小説を読んだが、まるで頭に入って来ない。


荷物を枕にベンチで横になった。


ウトウトと眠りに落ちそうに、こちらとあちらをさまよっていると、間隔の長いゆっくりとした足音が俺の近くで止まった。


「おい、こんな所にいたのか」


ぼんやりと目を開けると、眼鏡の父さんの顔があった。

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