コンクリート・ハウス
「父さん、これツマミにしよ。」


「おっいいじゃねぇか。」


チビチビと飲みながら話は続く。


「父さんは子供いるの?」


「あぁ、いるさ。子供どころか孫までな…。」


「いくつになるの?」


「今年中学生になったよ。大きくなったんだろうな。最後に会ったのは3歳だから…俺の事なんて覚えてないだろうよ。」


父さんの横顔が、なんとも言えなかった。


「…そっか。」


「まぁ、生きてりゃなんかあるわ。」


「そうだよね。色々あるわ…」



お互いの、今まで知らなかった過去を少しだけ知った。




今夜の月は、やけに丸い。
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