コンクリート・ハウス
「…くれるのか?チョコレート…」
こちらをチラリと見た。
「うん、ほら。」
2つに割った俺。
「お?」
力の入れ方が悪く、全く違う大きさになったチョコレート…
「こっちもらい!」
すかさずとっつぁんが手を伸ばして、明らかに大きい方を掠め取った。
「あっ、ちょっ、とっつぁん!そりゃねぇーよ!」
手元に残った、かけらみたいな小さなチョコレートを見ながら叫んだ。
「うへへ、心の傷への慰謝料って奴だよ。」
「なーにが慰謝料だよ、虫歯痛いんじゃなかったのか?少しにしとけって!」
「ひひひ」
奪い返そうと手を伸ばした瞬間、とっつぁんは無理矢理チョコレートを口に頬ばった。
「あっ!」
四角くなった顔で、満面の笑みを浮かべるとっつぁん
「……いでっ!虫歯…虫歯!」
「ほら、いわんこっちゃねぇ!!」
「よほほ~」
とっつぁんの情けない顔は、気が抜ける。そして可笑しい。
「あははは」
「…笑い事じゃねぇやい。」
無機質なコンクリートに、俺の笑い声が反響した。
完
こちらをチラリと見た。
「うん、ほら。」
2つに割った俺。
「お?」
力の入れ方が悪く、全く違う大きさになったチョコレート…
「こっちもらい!」
すかさずとっつぁんが手を伸ばして、明らかに大きい方を掠め取った。
「あっ、ちょっ、とっつぁん!そりゃねぇーよ!」
手元に残った、かけらみたいな小さなチョコレートを見ながら叫んだ。
「うへへ、心の傷への慰謝料って奴だよ。」
「なーにが慰謝料だよ、虫歯痛いんじゃなかったのか?少しにしとけって!」
「ひひひ」
奪い返そうと手を伸ばした瞬間、とっつぁんは無理矢理チョコレートを口に頬ばった。
「あっ!」
四角くなった顔で、満面の笑みを浮かべるとっつぁん
「……いでっ!虫歯…虫歯!」
「ほら、いわんこっちゃねぇ!!」
「よほほ~」
とっつぁんの情けない顔は、気が抜ける。そして可笑しい。
「あははは」
「…笑い事じゃねぇやい。」
無機質なコンクリートに、俺の笑い声が反響した。
完