コンクリート・ハウス
「ほら。おっ!ほとんど残ってるじゃん!とっつぁんに半分やるわ。」

「おっ悪いな~。」


前歯の抜けた、ハムスターみたいなとっつぁんの顔。


「じゃー後で、代わりにシャンプーを貸してやろう。たまにはスッキリしたいだろ?」

「やった、試供品の洗顔用石鹸じゃ泡立ち悪くてさ。」


この世界は、助け合いで成り立っている。故に、多くは2人とか3人でつるんでいる。


「さて、行くか。」
「うん。」


俺達はもとより、ここらのホームレスのほとんどは日中、図書館で過ごしている。本を読み、ロビーの椅子で仲間と世間話をしたり、昼寝をする。金銭や天候は勿論、水やトイレの心配もないのだ。


最高の場所である…が、問題が1つ。お役所機関なので、開館時間が短い。


朝6時ではとても開いていない。
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