武士道セブンティーン!!
だんだん数がまばらになってきたような。
あちらもこちらも人数は結構いたから。使えるか使えないかはともかく。
ビシッ!
バシン! ドッ!
「さすがに手ぇ痺れてきたんですけどー」
休戦、とか言ったらキレるだろうな。なんて思いながら額の汗を拭う。
「ぬおぉぉぉぉぉ!」
「おっと!」
間一髪刀を避ける。髪の毛が二、三本斬られた。
さすがに冷や汗が出る。
(今更ながら、ホントにタイムスリップしちゃったんだな)
今まで実態のないふわふわしたような意識で、漠然と理解していたが、
今の瞬間、一気にこれが現実なんだと実感した。
「この……幕府の犬めがぁ!」
幕末。
世の中が、変わろうと躍起になっていた時代。
命を懸けて、必死に生きた人々。
あたしとは━━━違いすぎる。
この状況に、一抹の不安を覚えると共に、
あたしはどうしようもなくこの状況が馬鹿馬鹿しくなった。
ゴッ!
「………っぅ、ぐっ」
棒切れでちょんまげの手を刀ごと押さえると、
ちょんまげの力が緩んだ一瞬の隙をついて、鳩尾に蹴りを入れた。
「幕府の犬?」
目を剥きあたしを震えながら見るちょんまげを、薄ら笑いを浮かべながら見つめた。