武士道セブンティーン!!


バキィンッ!


竹刀が吹っ飛び、カランっと軽い音がした。

しんと水を打ったかのように静まり返る。

あたしはハッとして体勢を立て直した。


やがて、永倉が声を出した。


「………勝者、宮本眞希」

やっちまった。

あたしの内心では、勝ったことの喜びよりそっちの感情の方が強かった。


いや、だってさ。

「………折れた」

落ちた藤堂の竹刀を見ると、真っ二つに折れてしまっていた。

あの時、一瞬意識が飛んだあたしは、
バットを振るう要領で藤堂の竹刀をぶん殴り、その反動を使い彼の腹を思いっきり突いてしまったようだ。

藤堂は噎せながら腹を押さえ蹲っている。


(あー……)

今の喧嘩の名目は試合。

アレ?何かおかしいな。

とりあえず、試合だ。

試合とは、ルールに従って打ち合うものだったね。


『バキィンッ!』

あたし、竹刀を撥ね飛ばしちゃったよ。


『眞希ィ!このたわけぇ!! 喧嘩でも侍魂を忘れるなと言ってるだろうが!
一方的に痛ぶるなんざ言語道断だ馬鹿者!』


近所のクソガキと大喧嘩したときに、
じいちゃんにこっぴどく説教された事をを思い出した。



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