武士道セブンティーン!!
「………」
あたしは一人の男に釘付けになった。
流れるような動作。無駄がなく、軽い動き。
しかし、打った一撃はとても重い。
相当な手練れに見える。圧倒的に、強い。
(なに、アイツ……タダ者じゃない……!)
さっきとは違う、体の底から疼くように背中がゾクリとした。
「あっ」
思わず声が漏れた。気付いたからだ。
圧倒的に強い男━━その背後から忍び寄る、影に。
「こんの……卑怯もんがぁ━━ッ!」
「!?」
ぶん投げたスポーツバックが背後の男の頭に直撃し、ゴンッと鈍い音の後、地面に伸びてしまった。
「あ。やりすぎた」
マズイ、と口を押さえた所で、水色の羽織りを着た男たちが刀を仕舞った。
「永倉組長!ご無事ですか?!」
「ああ、無事だ。だが……」
どうやら、あの圧倒的に強い男は“永倉”というらしい。組長というと、一番偉いのか?
首を傾げていると、永倉が鋭い視線を向けた。
「……誰だ、お前」