武士道セブンティーン!!
「暇だから月でも眺めようか……」
寂しく独り言を呟いて、竹刀を持って外に出る。
社の縁側から空を見上げると、そこに腰を下ろした。
綺麗な満月だった。皮肉なものだ。あたしの心は新月で真っ暗だよ。
「はぁぁー……」
ため息をつく。社に凭れた。ギシリ、と木が軋む音がした。
「……今頃あっちも夜なんかなー…」
二週間前に何故かタイムスリップしたあたし。
つまり二週間家に帰ってないということだ。
母さんの温かいご飯が食べたい。
父さんとつまんない話で笑い合いたい。
爺ちゃんのスパルタ稽古を受けたい。
爺ちゃんの煩い説教が懐かしい。
家に帰りたい。きっと心配してるだろう。
あたしも人並みにそういう気持ちがあったらしい。