武士道セブンティーン!!


とことん女を馬鹿にした国だな。


あたしが憤慨していると、ガサリと近くで影の動く気配がした。

口に当てていた手をそのままに、瞬きをする。


ゆっくり、カメのような愚鈍な動きで首を動かす。


ドクン。

心臓が嫌な感じに、鳴った。


「─────………」


「…………お前、誰じゃ」

唇が震える。

ザァ、と風が吹いて。あたしの髪を撫でていく。


………ヤベ。


「っ!」

「っ、おいっ!待てッ!」


敵前逃亡は武士の恥、とか言うけどさー。

いくら侍でも逃げたいときってあるでしょ?! 人間だもの!

てかそもそもあたし武士じゃないし!三十六計逃げるにしかずとか言うよね?!
世の中真面目がバカを見るんだよ、あたしは不良だから逃げる!


「どうした武田!」

「裏に人がおった!逃げよった!」

「なんだと?! 追え!」


追うな!

ほっとけよ!

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