武士道セブンティーン!!
3人だと思ったが、どうやらもう一人居たようだ。用心棒か何かかもしれない。
正面にいた奴らの話に混ざらず裏まで来たって事は、見張りしてたんだろうしね。
「……っち」
見つからなければ良い場所だが、見つかったら何とも不便な場所だ。
草が多くて走りにくい。木に紛れて逃げられるけど。
「待て坊主!」
待てって言われて待つ奴いるかよ。
つか坊主じゃねぇ!
林を抜け、長屋が立ち並ぶ通りに出る。
相変わらず暗くて、月の光しかない町は、とても神秘的で、でもすごく寂しく見えた。
二週間前も彷徨いてたなぁー。
こんな危機的状況じゃなかったけどね。
あたしは意外に足が速いらしい。
足音こそ、この静かな空間で聞こえるけども、姿はどこにも見えない。
昔の人って、刀がいつでも抜けるように手を添えて走るからね。
その刀自体重いだろうし。手ぶらで腕振り撒くって全力で走るあたしには勝てるまい。
さて。
「もう平気かな………」
いつの間にか足音も遠くなった。
あの林からもだいぶ離れただろう。
さすがに疲れてきたあたしは、走る速度を緩める。