武士道セブンティーン!!
これは、相当上手く武田の意表をつく必要があるな。
何もない。何かないのか………。
(………これしかない、か)
あたしは地面に置いた拳をグッと握る。
そして、その手を───思いっきり振り上げ、武田の顔に拳の中のモノをぶち撒けた。
「……………っ!」
武田は狙い通り意表を突かれたのか、
顔にぶち撒けられた砂───あたしが握りしめていた物だ───をモロに被った。
(今の内だ!)
あたしはチャンス!とばかりに立ち上がると、
素早くその場から駆け出した。
足下が履き慣れない草履なのと、地面が砂ということもあって、走りにくい。
それでもあたしは走った。
走って走って、後少しで裏路地を抜けられる、と思ったその時───。
ガッ!
側頭部に衝撃が走る。