武士道セブンティーン!!
「………」
誰かに抱き上げられているらしい。いや、持ち上げられている、か。
脇に抱えられたあたしの視界から、地面がグンと遠退いた。
屋根に飛び移った所でソイツを振り仰ぐと、
あたしを抱えていたのは全身黒づくめの怪しい男。
「ちょっと!誰ですかアンタ!離せよっ!」
「………静かにしろ」
「出来るかボケェ!触んな変態、
あたしはとっととここからおさらばすんだよ!いいから離せ!」
「………ホンマにアバズレやな。黙れ言うとるやろ阿呆」
キレるあたしにソイツは馬鹿にしたように鼻で笑うと、
どこからか出した手拭いを細く丸めて、あたしの口に猿ぐつわをした。
「んぐっ………」
いきなり何しやがんだクソヤロウ。
……という思いをありったけ込めた渾身の睨みをくれてやると、ソイツは、
「しばらくそうしていろ」
と言った。
(この真っ黒くろすけが………)
覚えてろ。