武士道セブンティーン!!
沖田は呆れたように笑い、腕を組み変えた。
「ならもう良いじゃないですか。俺が代わりに言ってあげましたよー」
「…………」
「何でそんなに偉そうなんだよお前は」
しらけた目で沖田を見るあたしの脇で、土方はため息をつきながら頭を掻いた。
「偉そうじゃなくて偉いんです」
「ほざけ。………まぁ、そう言う事だ、宮本」
土方はバンッと太ももを叩き、あたしを見てきた。
睨んでるように見えるが、もしかしたらこれが通常仕様なのかもしれない。
ふん。
「そう言う事ってどういう事ですか」
「あ?」
「貴方はあたしに謝った上であたしにどうして欲しいんですか?貴方は何をしたいんですか?」
「…………!」
奴はカッと顔を赤らめた。
今度は怒りでなく恥ずかしさから、だと思う。
なるほど。
性悪だが根はわるくないのかもしれない。
弄る沖田の気持ちが分かる気がする。
「あれー。土方さん恥ずかしがってるんですか?カーワーイーイー。
でもちゃんと口で言わないと分かりませんよ」
「おっ前…………」
さっきまでの殺伐とした空気は霧散していた。
沖田の介入だけでこんな砕けた空気になるなんて、不思議な奴だ。
「────……っあ゛ーもう!分かった!俺が悪かった!
拘束するのは止めるしちゃんと小姓として雇ってやるから戻って来い!」
「土方さんは近藤さんの為に貴女に戻ってきて欲しいんですよ」
「へー………」
頭を抱える土方。
戸に凭れながらニヤニヤしている沖田はやはり人が悪い。
あたしも人の事言えませんけどね。
「ショーガナイナー。戻って来てやってもいいですよー」
ああ、上から目線で言われながらも反抗しないで聞いてやるなんて、
あたし大人になったー。
「…………お前も総司と同類じゃねえか!!
腹立つ戻って来んでいいわこんくそアマァァ!!」
何がそんなに土方の心をささくれ出たせたのかは知らないが、力の限り叫ばれた。
土方の喧しい声と、あたしと沖田の控えめに
笑う声は、うっすらの明るくなった明け方の空に、吸い込まれていった。