武士道セブンティーン!!


「何言ってんですか。まだこれからですよ」

「これからって……もう人生の折り返しに来てるのに」

「折り返し?」


言われた言葉に眉をひそめ、ああと思う。

この時代は現代と違って早世なんだっけ。人生五十年、ってやつか。


「折り返しなんて。あたしそんな早く死ぬ気ありませんもん」

「殺したって死なねぇよ。お前なんか」

「黙れ」

永倉を黙らせ、味噌汁をすする。


「……まぁ、老成してるとは、よく言われますけどね」

「ふぅん。なに、そんなに苦労してきたの」

「…………」

お椀を膳に戻して、ご飯を食べる。

「 “目” ですよ」

「目?」

「昔はだいぶん、いじめられましたから」


右手で包帯を巻いた左目を触る。


「宮本をいじめるとか、強者」

「そう言えば、お前って何でそんなんしてるんだっけ。あの緑のは?」

「アイパッチ………眼帯、紐の部分がちぎれちゃったんですよ。困ってたら源さんが包帯をくれて。助かりました」

にっこり笑って井上を見ると、同じように笑って返された。


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