武士道セブンティーン!!
「あれ、眞希ちゃん」
土方に追い出される形で部屋を出たあたしは、廊下で沖田と鉢合わせた。
「沖田さん」
「この暑いのに涼しげな顔だねー」
「フツーに暑いですけど」
今はもう6月の終わりだ。
といっても、暦が現代と違うから実質もう7月
の終わりと言える。
通りで暑いはずだ。
「沖田さん何してんですか」
「ついさっきまで稽古してたから。ちょっと涼もうかと」
桶を持っている手を挙げて、にこっと笑った。
「ああ、稽古ですか。大変ですね」
「本当に大変だよ。暑いから熱病にかかりそうだ」
あたしは決して稽古を大変と言った訳ではない。
あなたの稽古を受けた隊士の方々が大変だと言ったんだ。可哀想に。今頃部屋で死にかけてるかもしれない。
沖田の稽古は下衆の極みだ。人間が受けるものではなし、とだれかれ構わず言われている。
「ねぇ沖田さん」
「なぁに」
「土方さんって何でこのクソ暑いのに熱いお茶飲むんですか?」
「さぁ。馬鹿だからじゃない?」
「ですよねー」