武士道セブンティーン!!


【永倉】



「…………はぁ」


永倉は石のように重い重いため息をついた。


「どーしたんだ新八?ため息なんかついて!」

「馬鹿、声でけぇよ。静かにしろ、真夜中だぞ」

「だってワクワクしてよー」


ガキか。

永倉は呆れたように原田を見ながらため息をついた。

時は丑の刻。
泣く子も黙る丑三つ時だ。


真上に昇った月が、雲に光を遮られながら、合間合間に下界を照らす。

ザワワと揺れる草木は、まるで今から永倉達がやろうとしている事を責めているようだ。


…………そう考えてしまうぐらいには、俺も浮かれてたりするのだろうか。

いや違う。断じて違う。
これは漠然とした不安から為せる緊張感だ。


「何だ新八、緊張してんのか?ハハハ、らしくねぇなぁ!
夜這いなんていつもやってんじゃねぇか!」


誰のせいで柄にもなく緊張してると思ってるんだ。


「どういう意味で言ってんだよ。夜這いなんてかける女、いねぇだろうが」

「冗談だろー。もっと軽く行こうや!」


ガハハと笑う原田。お前のその能天気で馬鹿なところが羨ましいよ。


< 233 / 337 >

この作品をシェア

pagetop