武士道セブンティーン!!
【永倉】
「…………はぁ」
永倉は石のように重い重いため息をついた。
「どーしたんだ新八?ため息なんかついて!」
「馬鹿、声でけぇよ。静かにしろ、真夜中だぞ」
「だってワクワクしてよー」
ガキか。
永倉は呆れたように原田を見ながらため息をついた。
時は丑の刻。
泣く子も黙る丑三つ時だ。
真上に昇った月が、雲に光を遮られながら、合間合間に下界を照らす。
ザワワと揺れる草木は、まるで今から永倉達がやろうとしている事を責めているようだ。
…………そう考えてしまうぐらいには、俺も浮かれてたりするのだろうか。
いや違う。断じて違う。
これは漠然とした不安から為せる緊張感だ。
「何だ新八、緊張してんのか?ハハハ、らしくねぇなぁ!
夜這いなんていつもやってんじゃねぇか!」
誰のせいで柄にもなく緊張してると思ってるんだ。
「どういう意味で言ってんだよ。夜這いなんてかける女、いねぇだろうが」
「冗談だろー。もっと軽く行こうや!」
ガハハと笑う原田。お前のその能天気で馬鹿なところが羨ましいよ。