武士道セブンティーン!!
あたしは表情を消して、屈めていた姿勢を戻すと、スタスタと為三郎の元に歩く。
「何してんのアンタ」
為三郎の後ろに立って、じろりと男を見ると、男もあたしを睨んできた。
「なんだ貴様は」
「初対面相手に貴様なんて、礼儀知らずにも程かありますね」
「何だと?」
男は、狐のように細い目を更に細めて、あたしを睨んだ。
帯刀しているから侍だ。でも何故、八木家に侍がいるんだろう。
「生意気なガキだ。名は何と言う」
「あた……私に名を聞く前に自分が名乗るのが筋ではないのか」
こめかみをぴくりと震わせ眉を寄せる男。
どうやら怒っているらしい。
「ふざけるな!分をわきまえろ!」
ぐしゃ、と足元で何かが潰される。
それは為三郎が折ったイカだった。
「ああっ」と、声を上げた為三郎の顔が歪む。
男の足で潰されたイカはぐしゃぐしゃで、もう元の形の見る影もなかった。