武士道セブンティーン!!
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「いっ…………」
あたしは涼しい顔を装って前川邸に戻ると、建物の陰に行き、着物の袖を捲くった。
酷いことになってるだろう、と鷹を括ってはいたが、思った以上に酷かった。
そこには案の定、赤く腫れ上がり、みみずばれになった腕があった。
触ってみると、軽く撫でただけでもかなり痛い。
「…………クソが」
あの後、涙目で心配そうにあたしを見上げる為三郎に、
「大丈夫だから、家に戻りな?このことは、誰にも言ったらアカンで?」
と優しく口止めをしながら、頭を撫でて帰って来た。
為三郎は賢い子だ。きっとバラしたりはしないだろう。
腫れた左腕を水で浸した手ぬぐいで冷やしながら、着物の袂からあるものを取り出す。
カサリと音を立てるそれは、為三郎が折った紙ヒコーキだった。
紙ヒコーキ、とは教えられないから、イカに似た形に乗って名前を変えた。
教えたのはつい三日前なのに、もう綺麗に折ることが出来てる。
きっとあの小さい手で、頑張って折ったんだろう。
………………それなのに。
(アイツら…………最低だ)