武士道セブンティーン!!
そっと左目を触るあたしを静かに見つめていた山崎が、いきなりバンっと膝を叩いた。
「よしっ」
「な、何」
「治療は終わりや。お前、まさか忘れてるんやないやろな」
「は…………?」
「怪我した理由をキチンと話せ。心配かけたんやから、ちゃんと説明すんのが礼儀ってもんやろ」
「……えー」
忘れてました。
ちょっと感傷に浸ってたもんだから。
「正直に話せよ。嘘なんかついたら副長に殺されるで」
「そんなリスク犯してまで嘘言ったりしません」
「りすく?」
「あー。いいです。第一、土方に殺されてまで奴を庇う理由はありませんから」
「それもそやな」
静かに笑った山崎は、縁側から立ち上がると治療箱を抱えてあたしを見下ろした。
「それじゃあ俺は仕事に戻るわ。お大事にな」
「あ…………ありがとう」
「構わん。また雑用頼むから」
「撤回するわ」
あたしの言葉に口元の布を下げてふっと微笑んだ山崎は、すぐに戻すと暗い廊下の先に消えていった。
「…………山崎って誰かに似てるなぁ…………」
改めて見ると、結構いい顔だった。