武士道セブンティーン!!
「だってそもそも考えれば、あたしが芹沢に殴られる意味が分かんないし…………」
ぶつぶつ低く呟くあたしに、頭上から、
「こんなところで筆頭局長を無体に呼ぶものではない」
と凛とした声がかかる。
驚いて顔を上げると、そこには、くすんだ水色の着流しを着た斎藤が立っていた。
「斎藤君……!」
「久しいな、宮本。聞いたぞ、芹沢さんとやり合ったらしいな」
「正確に言うとやり合ったのは新見さんの方とですけどね」
あたしはあは、と苦笑いしながら斎藤を見上げる。
相変わらず、涼しげな表情だ。
このどこか無頓着なところが、あたしはとても好ましい。
「……斎藤君、昨日の夜いなかったですよね?」
「ああ、昨夜は巡察だった」
なるほど、だからか。
あの時、斎藤がもし居たとしたら、どうだっただろう。
やはり何も変わっていないだろうか。
「…………そう言えば、宮本の発言が総司の逆鱗に触れたとかも聞いたんだが」
「…………あれ、逆鱗に触れたんですか?」
確かに言うことは言ったが、そこまでか?!
ヤバイ、後で本当に殺されるかな。とあながち冗談でもなく考えがよぎり、ふるりと体を震わせた。
あたしの隣に腰を下ろしながら、斎藤はあたしの包帯ぐるぐる巻きの手をじっと見つめた。
「…………結構な怪我だな」
「はは、これでも昨日よりはマシになったんですよ」