武士道セブンティーン!!
土方の部屋の前の廊下の曲がり角で、斎藤が足を止めたので、
あたしもそれに倣って立ち止まった。
「お願いします、眞希兄ちゃんを怒んないであげて」
ドキリ、とする。あたし?
為三郎は叫び声、というか泣き声で言う。
「眞希兄ちゃんが怪我をしたのは、ぼくのせいなんです。
芹沢のおじさんにナマイキな口を聞いたのも、新見さんと喧嘩したのも、ぜんぶ、全部全部、ぼくのせいなんです」
「違っ………」
思わず飛び出そうとした時に、斎藤に首根っこを掴まれて引き止められる。
「ちょっ…………何ですか。離してくださいっ」
「行ってどうする。これは誤解だと副長に問いて、また嘘をつくのか」
「だって、違うじゃないですか。為三郎のせいじゃないじゃないですか。
あたしが勝手にやったことであって、アイツらに失礼な口を聞いたのも、あたしがただムカついたからじゃないですか。
為三郎は、何にも悪くないんです」
じっと冷静な目を睨んで、為三郎の元に行こうとするが、斎藤は手を離さない。
「お前のそれは、一体何のためになる?」
「え……」
思わずその場に立ち竦む。
斎藤の言葉の意味を図るが、分からない。
「お前が坊の為に、嘘をつくことが、一体誰のためになると言ったんだ」
「それは……」
嘘をつくことが、為三郎の為になるなんて、そんな図々しいこと思っちゃいない。
あたしは、ただ。
「坊を巻き込みたくないとか、己が悪いからだとか、そんなんじゃないだろう。
お前はただ、知られたくなかっただけだ」