武士道セブンティーン!!


斎藤はすぅと息を吸うと、あたしをまるで嘲笑うかのように、口元を歪めた。



「己が無力で、弱くて、坊を守るどころか、自分すら守れなかったという無様な結果を」

「違う!」

「違うのか?」

「…………っ」


斎藤は無表情であたしを見つめた。

あたしは、言葉につまり、悔しさに黙り込んだ。



「お前は思ったはずだ。芹沢に殴られた後、
己の腕の傷を見て、誰も守れなかったことに、“情けない”、と」

「………………」


もう何も言えなかった。

あたしはただ、怖いと感じた。

まるであたしを見透かすような、斎藤の漆黒の瞳が。


「俺はお前を責めている訳じゃない。
お前が新見を許せなかったということは、正しいことだ。正しい感情だ。

そこで恐れて腰が引けて、相手にへつらうよりよっぽどいい」

「…………」

「………ただ、お前がやった事を、あれこれ嘘をついて隠そうとするのは、正しいこととは思えない」



────そんなこと言ったって。



「だって…………」


< 288 / 337 >

この作品をシェア

pagetop