武士道セブンティーン!!
「へぇ?芹沢局長か?あの人の乱暴狼藉なんざ、数え切れないだろ」
朝、道場で汗をぬぐいながら言うこの男は、
山野八十八(ヤマノ ヤソハチ)という。
早朝に(無断で)道場で木刀を振っていたあたしに声を掛けてきた変人だ。
何故変人かというと、今も決していい目で見られてる訳ではないあたしに周りを気にせず話しかけてきたからだ。
美男五人衆とか言われてるくらい可愛い顔をしておきながら、中身は中々男らしいみたいだ。
まぁ、それを言うと怒られるんだが。
「知ってるか?先月の始めに大阪で力士を斬ったんだよ」
「あ、それは奥沢に聞いた」
「お前滅多打ちにした相手とことごとく仲良くなってるな」
「暇人なんだよ、あたしなんかに構ってくるんだから」
「そりゃーあれだ。俺みたいに、宮本の腕に惚れたんだな」
「きもっ。そんな気はありませんよ」
「俺だってねぇよ!」
スパァン、と鋭い音が静かな道場に響く。
はぁはぁと浅く息を吐く山野。
「……っんとに、卑怯だなー、宮本は」
「失敬な。おしゃべりに夢中で脇ががら空きだったけど。山野」
「がら空きなんかじゃないよっ!」
「すっかすかだったけどなぁ」