武士道セブンティーン!!
「………?」
しかめっ面を隠す事もしないで、あたしは手早く湯呑を全員の前に置く。
今日はいつかとは違い、斎藤もいた。
今晩は誰も巡察に当たっていないらしい。
そう言えば、あの時も同じような空気だったよなぁ。
すぐに土方と喧嘩になって流されたからあんまり気にならなかったけど。
今日の話も聞かれたくない話、らしい。
深入りしないに限る。
湯呑を置き終わったあたしは誰の顔も見ず立ち上がると、
「失礼します」
と声をかけ部屋を出ようとする。
すると。
バンッ!!
突然剣呑な音を立てて障子が開いた。
そのけたたましい音に部屋の中の全員が顔を険しくする。
「………」
障子を乱暴に開けたのは、芹沢だった。
(性格が乱暴だとドア開けるのも乱暴になるのか)
あたしは思わず顔をしかめる。
久しぶりの再会だが、ものすごく嬉しくない。
正直嫌な予感しかしない。
この人に関わると、ろくな事を考え出してしまう。
もう治ったはずの腕の傷がじくりと痛んだ。
「…………なんのようだ?芹沢さん。アンタがここに来るなんて、珍しいな」
凍りついた室内で、正気を取り戻した土方が、
飄々と声を出す。
口調こそ控えめなれど、目は明らかに威嚇している。
土方はそれをわざとしてるんだろうけど。