武士道セブンティーン!!
腕からお盆が滑り落ちて、ぐわんぐわんと音を立てた。
「芹沢さん!!」
永倉だか、土方だかの叫び声が聞こえた。
頭の中も、お盆と同じようにぐわんぐわんしている。
眉を寄せながら目を開けると、二人は腰を浮かせていた。
「………ふっ。鬼でも顔色を変えることがあるんじゃのう。
土方、わしはお前にも人間らしい所があると分かって安心したぞ」
「…………」
土方は答えない。
斬るような瞳で、じっとこちらを睨み、芹沢の様子を伺っている。
どうやら、あたしの様子に焦っているらしい。
こんな、胸倉掴まれたら、バレてしまうかもしれないし。
芹沢を騙してあたしを隊に入れたこと。
ここは、女子禁制の壬生浪士組だ。
「……っ……、はな、せっ」
迷惑はかけられない。
胸倉を掴む芹沢の手を引きはがそうとするが、ビクともしない。
力の差に愕然としながら、唇を噛み締める。
しょせん、あたしは女だ。
横目にあたしを見る芹沢の目は、何を考えているのか、濁っている。
読めない。何を言おうとしてるのか。
「……鼻っ柱が強いだけのお主のような小僧に、あの土方がこれほど執着しおる。
お前、何を隠してる」
「何言って、」
「この隠された瞳に、秘密でもあるのかのう」
「…………っ!!」
ガッと、大きな手に顔を掴まれる。
いきなりのことに驚愕したあたしは、それに抵抗する事が出来ず、凍りついた。