武士道セブンティーン!!




あたしの顔掴んだ芹沢は、一瞬だけ手を離すと、また乱暴に、あたしの前髪を引き上げた。



頭皮に伝わる痛みに、小さく声を上げる。


でも、痛み以上に今のあたしを襲ったのは、恐怖だった。




あたしの両眼にかかるくらいだった、意識的に伸ばしていた前髪。



お風呂上がりだから、包帯も巻いていない。




その前髪を引き上げられた、今。




「………………っ、」



目を見開き、声もなく芹沢を見上げる。


あたしを無表情に見下ろしていた芹沢は、
やがて鼻を鳴らしながら、不快そうに顔を歪め笑った。

そして、顔を近付けて、囁くような声で呟いた。




「……女子のくせに、醜い目よの」




───『気持ち悪い!』







かっ、と顔が熱くなる。


けどそれとは反対に、全身の血が下がっていくような、気持ち悪い感覚が込み上げた。



視界がぐわんぐわんしている。


芹沢が醜いというのも、当たり前のことだった。



…………あたしだって、自分の目が醜いと思うから。



< 314 / 337 >

この作品をシェア

pagetop