武士道セブンティーン!!



「今ではマシになったけど、それでもたまに、この目のことで何か言われると、
怖くて怖くてじっとしてられない時がある」


「だから起きてたのか」


「お恥ずかしながら。
まぁ、芹沢みたいな奴に何か言われても、怖いどころか怒りしか湧いてきませんでしたけどね」


「ふは、宮本らしい」



永倉はくくっと喉で笑うと、勢いをつけて起き上がった。

そんな永倉の横顔を見る。

相変わらず、綺麗な顔をしている。

横からじゃ目付きの悪さなんて分からないからな。うん。



「…………そんな理不尽な理由で、お前が傷つく必要なんてねぇのにな」


「ん?」


「お前の目のことも、怪我のことも。
別に好きでそんなんじゃねぇんだから、お前が気にすることなんてないのに」



永倉は眉を寄せて、んーっと唸りながら宙を睨んでいる。

そんな永倉の不器用な言葉にちょっとだけ笑いながら、言葉を続ける。




「別に、芹沢みたいな奴に何言われたって、馬鹿らしいって思いますよ。
ううん、芹沢だけじゃない。あたしのことを何も知らない奴に何言われたって、もう気にならないくらいの抗体はつきましたし。
…………でも、気持ち悪いって言われるのは、やっぱりちょっと傷付くんだよなぁ」



過去に言われたことを思い出して、少し胸が痛んだ。

やっぱりどんなに強がったって、この痛みは消えないみたいだ。



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