武士道セブンティーン!!
斎藤、と呼ばれためっちゃクールそうな兄ちゃんが立ち上がり、あたしの腕を掴み引き立たせた。
「……触らないでくれます?」
「……」
にこやかに笑って言ったあたしを、クール兄ちゃんが驚いたように見た。
「別に逃げようなんて思ってないし、逃げられるとも思ってません。だから気安く触んないでくれます?」
深い色をした兄ちゃんの目をじっと見ると、無表情の彼が僅かに目を細めた。
すっと手を離される。
「あ、そうそう」
すっくと立ち上がり、兄ちゃんの後に続きながら、障子の前でふと立ち止まり振り返る。
「?」
バキィッ
ガターン!
「…………………」
縁側に横倒しになった障子と、蹴倒したあたしを交互に見つめる奴ら。
兄ちゃんは目を見開いて固まっていた。
「……アンタら、女ナメてると痛い目見るから。………覚えとけよ土方」
目を剥いて睨み付け、血管を浮き出させていたあたしの背後に、
般若の顔がハッキリ見えたとこの兄ちゃんに聞いたのは、もっと後のことである。