二重人格神様~金と碧の王~



それから、部屋では特別何もなかった。


ただ、黙々と仕事をこなすグレンさんのもとで、私はソファーに座っているだけ。


次第に涙も止まり気持ちが落ち着き、腫れがひいた。


時たま、グレンさんをチラ見すれば、彼も私を見てすぐに視線をそらす。


逆に視線を感じ彼をみれば、彼は慌てて、そらし、私の頬は熱くなる。



そんなことの、繰り返しだった。





何かが、はじまった。そんな時間だと、自覚するのは、もう少し後のはなし。




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