二重人格神様~金と碧の王~
そう、言うと彼が私の首筋に顔をうめた瞬間、チクリと痛みが走った
「…っ」
「次は胸元につけてやるから、覚悟しておけよ」
「…な」
ふざけないで!そう、叩こうとした手をスルリとよけ彼は私から離れると立ち上がる
「じゃあな、花嫁ちゃん」
「なっ」
「あとで、アレスが来るだろう。それまで、そこにいろよ」
「…」
そう、言うと彼は私を振り向くことすらせず、その場所から消えていった。
「…」
最低だ。あの人。
いなくなったあと、そっと首筋を触れば熱い。
聞いてしまった、知らなかった事実。海鈴さんが二重人格で、海鈴さんの中にグレンと名乗る人物がいる。
信じるにも信じがたいはなし。
けれども、たぶん本当。
「…海鈴さん」
その事実、どうして黙っていたの?
そのことが、わたしが、なぜだか、少し、寂しくて仕方がなかった。
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