二重人格神様~金と碧の王~
「す、すみません。扇李が失礼なことを…」
「い、いえ…」
偽装、か。否定は出来なかった。だって、事実…私は最初、偽装花嫁になったんだもん。
今は違うけれど、それは変えられない事実で無意識にうつ向くと海鈴さんは私の肩を抱き、痛そうに顔を歪める扇李さんを睨む。
「そんなことない。僕は彼女を愛してるから。偽装なんて、とんでもないよ」
「海鈴さん…」
愛してる、って…その台詞、初めて聞いた気がする。嬉しい。凄く。
そんな感情が出てしまったのか、私をみた沙優さんが微笑んだ。
「なんか、幸せそうで」
「そんなこと…」
「ありますよ。おめでとうございます。海鈴さん」
「どうも、まぁ、僕たちより、お二人の方が幸せだと、聞いてるよ。産まれたんだってね」
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