二重人格神様~金と碧の王~
「え?」
産まれた?
「あ、はい。実は連れて来たんです。ほら、いい加減出てきなさい」
沙優さんがそっと、扇李さんの羽織を剥がすとそこには彼の足にしがみつく、小さな赤い髪の女の子。
産まれたとは、そういう事か。
「おいくつ、なんですか?」
「まだ、一年も立ってないんです」
「え!?」
どうみても、一年は経過しているような見た目なのに?
「神の子は、最初だけ体の成長が速いんだ」
「そうなんですか?」
「えぇ、私もビックリしてます」
足にしがみつく女の子を扇李さんが抱き上げればその胸に顔を埋め込み、それを愛しそうに撫でている。
「最近、扇李の足から離れないんです。扇李もそれが可愛いみたいで」
確かに、頭を撫でる彼は最初に感じた威圧的はなく、優しい顔をしている。
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