二重人格神様~金と碧の王~
「うん。まぁね」
「こんなめでたい知らせがあると言うのに、挨拶が私で申し訳ありません」
「え?紫音、来てないのかい?彼女も」
「はい。少し凜様が体調を崩しまして…」
「なるほど。だから、来ないのか。顔に似合わいんだから」
ため息をはき、そう言う紫音さんの表情は少し暗かった。
そうだ、確かに紫音さんの花嫁と海鈴さんは人間界で顔見知りだったんだっけ。
あの日、聞こうと思っていたのに、誘拐されたから聞いていなかった。
今更ながら、胸がモヤモヤする。その寂しそうな顔は何を思っているの?会いたかったから?やっぱり、海鈴さん…その人のことを…
いやだ。考えたくない。今は私を見てくれているんだもん。考えてはだめ。
そう、無理矢理思いこみ、二人の会話に耳を傾けた。
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