二重人格神様~金と碧の王~


聞いたことのある、声。この声は…ルーテルさんだ。


顔をあげその主をみると、そこには綺麗なドレスに身をつつみ、私を見下ろすルーテルさんがいた。

いつも以上に美しい姿に、つい呆然と見つめると彼女は口元に手をあてお上品に笑う。


「ふふ、いのりさんってば、そんな所でうずくまって、具合でも悪いのかしら?」


「あ、いえ。少し休んでいただけです。ルーテルさん、いらしてたんですね」


立ち上がり、視線を落とし、今までのことがあるから、無意識に女から離れる。



そんな私の行動を気にも止めないようすで、ルーテルさんは私に近付く。



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