二重人格神様~金と碧の王~
「えぇ、久しぶりの夜会ですし、楽しもうかと思いまして」
「そうなんです、か」
「はい、あ、ダンスはなさったかしら?」
「あ、いえ。わたしは踊れないので…」
「あら、そうなんですの。海鈴様から手解きを受けなかったのかしら?」
そのようなことはされていない。
だいたい、夜会のことも数日前に知ったから、ダンスなんか習う余裕分なんかない。
そう否定すると彼女は勝ち誇ったようにわらった笑った。
「あら、そう。私は海鈴さまから教えて頂いたわ。とてもお上手なんですよ」
「そう、なんですか…」
「えぇ、先程も踊って下さったの。楽しい一時でしたわ」
明らかな嫌みを含んだ言葉。
気にしたら、駄目だ。ルーテルさんにはまだ伝えてないけれど、私は本当の花嫁になれたんだもん。
彼女の言葉に惑わされてはいけない。
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