二重人格神様~金と碧の王~


「手を繋げだと!?そんな恥ずかしいこと誰がするか!!自力であるけ!」


「…う」


プイッと顔をそらし、そのまま階段を昇るグレンさん。


そ、そんなに怒らなくても…


少し優しくされたから、大丈夫かなと言ってみたけれど、駄目だったみたい。


「ごめんな、さい…」


仕方がない。一人で歩くしかない。

塀に手をあて、立ち上がり彼のあとを追おうとした瞬間


「…あ」

視界がゆがみ、その場でついしゃがみこむ。

どうしよう、また吐き気が…

こんな状況で一人で歩けるわけがない。


海鈴さんなら、私が言わずとも手を貸してくれるのに…

グレンさんが嫌とは言わない。だって、いつもよりは優しいから


けれど、やはり…こういう時に傍にいてほしいのは…海鈴さん…


*
< 216 / 513 >

この作品をシェア

pagetop