二重人格神様~金と碧の王~
「…う」
その名前を呼びたかった。聞こえるわけがないけれど、届くのではないか、そんな期待をこめ名前を呼ぼうとすれば、不意に階段を降りてくる足音が聞こえ、その主をみれば
「わかったよ、まったく、世話がやける」
「え!…あ、ちょっ」
腕を引かれ、階段から足が宙にうき、そのまま肩に担がれてしまった。
「グ、グレン…さん?!」
太ももに彼の手がふれ、赤面する私とは違い彼は平然と階段を昇る。
「文句を言ったら、このまま落とす。黙れ!バカ女!」
「…な」
なんて、ひどい言いかただ。可愛くないの次はバカ女とは。
いや、けれど、今はそんなことより…
「あの、グレンさん…」
「だから!文句を言ったら!」
「そうではなくて!…その、この体勢だと…吐きそう…で、うっ」
「…は!?」
お腹を圧迫され、慣れない体勢で下をむく、それは吐け!と、言われているようなもので…
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