二重人格神様~金と碧の王~



***


「全く…警戒心の欠片もない」


月明かりが部屋を照らすなか、グレンは目の前で眠るいのりを呆然と眺めていた。


小さく、今にも消えてしまいそうな寝息をたて、時折苦しそうに眉をひそめ、寝返りをうつ。


唇から零れる吐息や苦しそうなうなり声。


それをグレンは身動きひとつなく見つめている。

どんな、ものを盛られたかはしらないが、あの女はやってくれた。


相当な量を盛られたのだろう、人間のいのりには耐え難い苦痛をあたえているのか、首筋から流れる汗にグレンは心を痛めた。

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