二重人格神様~金と碧の王~
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「全く…警戒心の欠片もない」
月明かりが部屋を照らすなか、グレンは目の前で眠るいのりを呆然と眺めていた。
小さく、今にも消えてしまいそうな寝息をたて、時折苦しそうに眉をひそめ、寝返りをうつ。
唇から零れる吐息や苦しそうなうなり声。
それをグレンは身動きひとつなく見つめている。
どんな、ものを盛られたかはしらないが、あの女はやってくれた。
相当な量を盛られたのだろう、人間のいのりには耐え難い苦痛をあたえているのか、首筋から流れる汗にグレンは心を痛めた。
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