二重人格神様~金と碧の王~



その顔はいつも海鈴に向けられる穏やかな寝顔。海鈴越しでグレンも時たまそれを見ているが、つい目を瞑ってしまう。


見ていたくないから。海鈴にだけみせる表現など。


だから、つい、言ってしまう。自分に向ける警戒心や反抗的な言動に


「可愛くない女…」


って…。


けれども、それは本当なんかじゃない…


海鈴がいのりを可愛いと思うのなら、思ってしまう。身体を共有しているのだなら、どこか…繋がっているから…


「…いのり」


今まで、呼んだことのない名前を呼び、グレンは彼女の頬にかかる髪の毛を触り

ベッドのギシッと言う音とともに、迷うことなく彼女の唇に口づけた。



「…ん」


顔をゆがめ、寝返りをうつ彼女をグレンは穏やかな笑顔を浮かべ見つめていたのは、誰もしらない…






< 235 / 513 >

この作品をシェア

pagetop