二重人格神様~金と碧の王~
熱を?そうだったんだ。
「あの、ごめんなさい。なんか、迷惑かけちゃって。わたし、いつの間にここに?」
「それなら、数時間前に連れてきた。熱下がらないし、起きる気配なかったからな。呉羽の所に長居も出来ねぇ。それに、俺が海鈴になったら、事の事態がわからないだろ。あ、一応フェイランには事の一部始終を言ったから」
「そ、そう、ですか」
確かに、その通りだ。随分とお世話をかけてしまった。
頬から手をはなし、腕を伸ばすグレンさんのもとにベッドの上を這い蹲りながらいく。
すると、彼のぎょとした視線を無視し私は深々と頭を下げる。
「あの、この度は大変ご迷惑をおかけしました。ありがとうどざいます」
「え?あ、あぁ…」
彼は予想外だったのか、少し戸惑いながら頷く。
そしてそのまま立ち上がり、私の頭を軽く突付いた。
「全くだ。ルーテルには気をつけろって、海鈴も言っていただろ」
「はい…」
「お前、やっぱり盛られたんだ」
.