二重人格神様~金と碧の王~
呆れた顔をする彼に、少し申し訳ない気持ちになる。
けれど、それは可哀想だよ。
追放は絶対にだめ。わたしも、辛かったんだもん。
人間界からここにきて。でも、それは海鈴さんと思いが通じ合って、みんながよくしてくれる。
だから、大丈夫なんだ。
あんな不安な思いは誰にもさせたくない。わたしが、我慢すればいいだけなんだもん。
暫しの沈黙が流れる。たが、それをすぐに打ち破ったのはフェイランさんだった。
「海鈴様に...それとなく、言っておくわ」
「え?」
瞬きを繰り返し、視線をそらす彼を見つめればチラリとわたしをみつめ返す。
大きな手を伸ばし、私の頭をなで失笑した。
「あなたらしいわ。そんないのり様だから...海鈴様も惹かれたのね」
「そ、そんなこと...。あの、我儘で、ごめんなさい。でも、ありがとうございます」
頭を軽く下げると手を離し、肩で息をはきだしながら彼は立ちがあった。