二重人格神様~金と碧の王~


「いいわよ。でも、小鳥ちゃんからも海鈴さんに言ってちょいだいね。わたしが言うのと、貴女が言うのは違うから」


「はい」


部屋を出ていこうとする彼の背中を追うと、不意に振り向き思い出したように言う。



「そうだ。昨日の出来事はまだ海鈴様は知らないわ。昨日からずっと、グレンさまだったから。お昼には戻ると思うから、報告ついでにその事も言っておくからね?」


「あ、はい。わかりました」


グレンさんも、なんかそんな事を言っていた。

あの事件に遭遇したのは自分。もとに戻って海鈴さんが混乱するから自分がいたって。


「じゃあ、そう言うことだから私は行くわ。夕食はきちんと食べなさいね?出来たら迎えに行くから、今日は休んでまなさい」


そう言い、出て行くフェイランさんに再度御礼をいうと彼は静かに部屋を出て行った。

フェイランさんにも、心配と迷惑をかけちゃったな。


こんなに、皆がわたしの事を心配してくれる。本当に、嬉しくて、有難いな。





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