二重人格神様~金と碧の王~


さみしかった一週間を埋めるつかの間の時間は楽しかった。


ご馳走を沢山たべて、片付けて、ケーキをテーブルにおく。ロウソクをさし、火をつけようとした時、その時間は終わりをつげた。


黒いバックにしまわれた携帯な鳴り響いた瞬間、お父さんは険しい表情にかわり、わたしは顔がこわばった。


その意味を理解したかのように、わたしはお父さんに笑顔をむける。


『お父さん、行ってきて』


今おまえば、大人ぶっていた。子供らしく、いかないで!って泣き叫ぶことはしない。お父さんを困らせたくなかったのだ。



わたしってば、なんて、夢を見ているんだろう。

過去の記憶を夢でみるなんて、不思議。



夢のなか、お父さんを見送ったわたしは、誰もいない玄関で一人うずくまっていた。


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