二重人格神様~金と碧の王~
暗闇の中、泣き続ける小さなわたし。
そんな私を見ていたら、わたしの目から涙が流れる。
涙が止まらなく、小さなわたしと同じようにしゃがみ込む。
『お父さん...会いたいよ。寂しいよ...わたしは...ひとりぼっち、だよ...お父さんっ』
暗闇のなか、もう、小さなわたしはいない。闇に、わたしの泣き声がよく響きわたる。
帰りたい。誰か、助けて。怖いよ。
ひとりぼっちは、いやだよ...
『...いのり』
...え?
不意に、どこからだろうか。わたしの名前を呼ぶ声がきこえる。
『そんな顔をするな』
『だ、れ?』
顔を上げると、やたら暖かい物が頭にふれ、そのまま頬を伝い涙を優しく拭う。
わたし、この手を知っている。
暖かい温もりに身を委ねれば、そのまま手を包む感触。
この手は、きっと...
『かい、り...さん』
微睡みのなか、私はそう呟き、目を覚ました。