二重人格神様~金と碧の王~
ぼやける視界がだんだんと定まってきて、部屋は暗いことが分かる。
あれ、わたし、随分と眠っていたんだ。
身体を起こし、瞼を数回擦りながら窓の外を眺める。
月がのぼってる。もう、夜か...。
『...ん?窓、閉まってる」
おかしいな。わたし、あの気持ちいい風に煽られて寝むった気がしたんだけど。
誰かが、閉めてくれたのかな。フェイランさんかも。
ベッドから起き上がり、乱れた髪をなおし服を整えるとふと、ベッドの下に何かが落ちていた。
「これ...」
海鈴さんの羽織りだ。どうしてこんな場所に落ちているんだろう。
手をのばし、拾うと彼の香りがする。
もしかして、海鈴さんに戻って様子を見に来てくれたの、かな。
羽織りを握ると、先ほどの夢を思い出す。
あの夢の声と感触は、やたらとリアルだった。これがここにあると言うことを兼ね揃えると、海鈴さんが来てくれたんだ。
嬉しい。あのこともきいたのかな。
そう思えば、無性に彼にあいたくなる。
羽織をベッドにおき部屋を歩きドアを開けた。顔をだし、キョロキョロと見渡すと開けたドアの影にいたアレスが顔をだす。
.